本書は「プログラミング言語Standard ML入門」(大堀 淳著,共立出版,2001 年)を改訂したものです.初版の出版から20年を経て本改定版の刊行まで,多 くの方々のご指導やサポートを頂きました.
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1992年,米国・英国から帰国して間もない頃,日本ソフトウェア科学会大会 チュートリアル「本物のプログラマはMLを使うようになるか?」の講演を依頼 されました.本書の初版の出発点は,その時書き下ろした80ページほどのチュー トリアルテキストです.日本の学会の付き合もほとんどない会社員の私を念頭に, チュートリアルを企画・依頼くださった,小野寺民也氏に深く感謝しております.
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1998年秋に,共立出版株式会社の当時企画本部におられた石井徹也氏にMLの 教科書の執筆をお勧め頂きました. 大学の異動などでで執筆が遅れましたが,2000年から勤務したJAISTでは, 北陸鉄道での往復40分ほどの通勤時間があり,がらんとした車両を毎日快適な広 い書斎のように使って,仕上げることができました. 出版にいたるまで,石井徹也氏には大変お世話になりました.
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初版で目指したものは,本格的なMLプログラミングが習得できるテキストでした. この目的のためには,当時仕様策定中であった標準ライブラリ(Standard ML Basis Library)の使用方法の解説が必須でした. 私の意図をご理解下さり,当時執筆中だった「The Standard ML Basis Library (MIT Press)」 のドラフトを提供くださったJohn Reppy氏のご理解ご好意により, 2001年に本書を完成させるとができました.
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初版は,MacQueenとAppelが開発したStandard ML of New Jerseyをコンパイラとして使用していました. JAISTにて2003年から,片山卓也氏が構想したe-Societyプロジェクトに加えていただき,独自のML言語 SML#の開発を開始しました. このSML#の研究開発が,本書の改定版さらには姉妹書の刊行にいたる基盤でした. このSML#の完成は,上野雄大氏との長年に亘る研究無くして達成できませんでした.
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2020年に,共立出版の石井氏始め編集部の方から,「20年目の改定版!」を 出しましょう,とのご提案を頂きました.これをきっかけに, (1)コンパイラをSML#に変更し本書を改訂し,さらに, (2)実践MLプログラミングを内容とする姉妹書を新たに書き下ろす, との構想を提案し,ご快諾いただきました. それ以来, 「SML#で始める実践MLプログラミング」(大堀・上野著)と本書改定版の出版まで,お世話になりました. 特に,ご担当頂いた影山綾乃氏には,両書籍の表紙のデザインから厳格かつレベル高い校正にいたるまで 大変お世話になりました.
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本書の改訂の企画・準備と並行し,以前から要望のあった初版の練習問題の 解答例の執筆を再開しLaTeXMLで公開しました. 花田覚氏から,この解答例に数々の有益なコメント誤りのご指摘,さらに,初 版の誤植のご指摘をいただきました. それらは,本改訂版に反映されています.